GICの不動産部門副チーフ・インベストメント・オフィサー、ゴー・チン・キョン氏と日本の代表取締役 杉本健氏が、なぜ日本が長期的に優れたリスク調整後リターンを達成できる魅力的なマーケットであり続けるのかについて語ります。
2023年08月29日 — GICの不動産部門副チーフ・インベストメント・オフィサー、ゴー・チン・キョン氏と日本の代表取締役 杉本健氏が、なぜ日本が長期的に優れたリスク調整後リターンを達成できる魅力的なマーケットであり続けるのかについて語ります。
難しい投資環境における不動産
投資家が今日の難しい投資環境に取り組み続ける中、不動産はポートフォリオの分散とインフレヘッジに資する重要な投資先として注目されるようになってきました。GICは1980年代から不動産に投資することで早くから優位な立ち位置を築き、1990年代にはポートフォリオをアジアに拡大してきました。現在では世界トップクラスの不動産投資家として、グローバルに分散されたポートフォリオと、10カ所のオフィスに現地チームを擁しています。
ゴー氏は「この難しい環境下で優れたリターンを得ることは容易なことではありません。今後は、価格評価に関する規律の維持、良質な資産へのフォーカス、ポートフォリオのリバランスが極めて重要になるでしょう。」と強調しています。
日本の不動産市場に明るい兆し
多くの投資家が日本の低金利と円安に魅力を感じている中で、GICは特に日本の不動産市場の厚みと流動性に魅力を感じています。
GICは1990年代から日本に投資しており、今後もリスク調整後ベースで優良な投資機会を見出し続けていく方針です。実際にGICは日本の不動産分野において、ホスピタリティ、物流、住宅、オフィスなど主要なセクターにまたがる多様なポートフォリオを有しています。
例えば、2022年には西武ホールディングスから26施設の不動産を取得しました¹。これについて、杉本氏は「長期的な追い風が吹くセクターで、全国の好立地に位置する優良な資産からなる大規模なポートフォリオを取得し、国内最大級かつ豊富な実績のあるホテル運営会社と協働するまたとない機会です。」と述べています。
さらに「コロナ禍の間も、日本の国内観光市場が好調であったことや、昨今の世界的な旅行需要の高まりを考えると、これらの資産はレジリエントなリターンを生み出す良いポジションにあると考えています。」と加えました。
物流もGICにとって魅力的なセクターです。2023年4月には、Blackstoneから物流施設6棟を取得しました²。これらの施設は日本トップクラスの不動産デベロッパーである大和ハウス工業によって開発されたものであり、今回の取得はeコマースやサードパーティ物流事業の堅調な業績によって成長しているこのセクターに対する私たちの自信の現れでもあります。安定的かつ分散の効いた賃料収入が期待できる本ポートフォリオは、魅力的な成長ポテンシャルを兼ね備えており、GICの長期投資の視点とアプローチにも合致しています。
ゴー氏は「ホスピタリティやロジスティクスといった追い風の吹く分野に引き続き注力していく中で、今回の取得は日本のポートフォリオをさらに強固にするものです。」と述べています。
GICは7月にも、大和ハウス工業が開発した愛知県弥富市の物流施設を取得しました³。
杉本氏は「これらは、私たちがすでに日本で行ってきた投資のほんの一例にすぎません。私たちは、長期にわたって安定したリターンを創出するボトムアップの機会を数多く見出しており、日本におけるさらなるポートフォリオの拡大に取り組んでいきます。」と述べています。
長期的なパートナー
投資家たちが日本での投資機会をますます求めるようになり、競争が激化するのは間違いありません。杉本氏は「GICの豊富な投資実績が、魅力的な案件を発掘する上で重要な役割を果たすでしょう。」と述べ、さらに「GICのような長期的なマインドセット、グローバルな視点、資本の柔軟性、現地チーム、強力なネットワークを持つ投資家の存在は、企業にとって、再編、移行、地理的拡大を図る上で有益となるでしょう。」と述べています。
また、ゴー氏は「不動産は非常にローカルなビジネスであるため、大手企業やオペレーターと協力して案件のソーシング、管理、運営を行うことが今後極めて重要になるでしょう。」と加えています。現に、このようなパートナーシップによって、GICはこれまで国内におけるポートフォリオを拡大してきました。
GICはまた、同様の長期志向を持つパートナーとの協働による付加価値創造にも特に着目しています。例えば、西武ホールディングスから取得した施設は、引き続き西武プリンスホテルズ・ワールドワイド(SPW)が運営していきます。GICとしては、SPWと密に協働し、長期的にポートフォリオの価値向上に取り組んでまいります。
杉本氏は「我々はSPWと共に、大規模な施設から優先的に将来的な方向性を検討しています。SPWと協力しながら、ゲストの皆様に喜んでいただけるようなより良い施設にしてまいります。」と述べています。